トゥデイ AF61 キャブオーバーフローによるエンジン始動不良 修理
長い間駐輪場で肥やしになっていたため、エンジン始動不良状態になってしまった、トゥデイAF61型の修理をまとめた記事になります。
今回訳あってこの原付をまた使えるようにしたいということで、修理を行うことになりました。
この記事は長時間放置されたバイクの基本的な起こし方のまとめになりますので、参考にしていただければと思います。
エンジン始動不良 現象確認
先ずは原付の始動不良の現象確認を行います。
どのような現象でも修理をする際はまず現象確認をしっかり行うことが重要です。現象をしっかりと理解することで、修理への切り分けを行っていき正しい切り口から修理を行っていきます。
今回の車両は最初にエンジンをかけようとしたみたいで、新しいガソリンをタンクにいれた状態になっていました。
バッテリーは死んでいるので、キックでエンジン始動を試みます。
すると、「ボ、ボ、ボ、ボ、、、」という感じで、一発でエンジンがかかりました。
しかし、エンジンがかかってすぐにエンスト。
その後、キックで再始動を試みましたが、最初はかかる気配があるがかからず、そのうちまったくかかる気配がなくなりました。
そうしているうちにキャブレターの下の方がじわじわ濡れてきているのを発見しました。
画像赤丸部が濡れてきている部分ですが、画像だと少しわかりにくいですね。トゥデイはメットインを10mm4本で簡単に外すことが出来るので、メットインを外すことで観察しやすくなります。
この現象はいわゆる『キャブレターのオーバーフロー』という現象ですね。
一番最初は問題なくエンジンがかかったので、今回はこのオーバーフロー状態を修理すれば不具合を解消することが出来そうです。
4stエンジンでオーバーブローが起きた場合はエンジンオイルの交換が必須になります。
また点火プラグも同時に点検して、減っているようならば交換しましょう。
キャブレターのオーバーフローとは
キャブレターのオーバーフローとはどいうことか簡単に説明していきます。
ガソリンタンクの燃料はまずキャブレターのフロート室というところに、ある一定量たまるよな仕組みになっています。
このフロート室にたまった燃料が、メインジェットより吸い上げられエンジン内に送られます。
キャブレターのフロート室はトイレの水タンクと仕組みがよく似ています。
トイレの水タンクは水がたまるとタンク内の浮袋が推移とともに上がって来て、ある一定の高さ(量)まで来ると水の栓を閉める仕組みになっています。
ガソリンエンジンのキャブレターも同じような仕組みで、フロート室には浮袋があります。
フロートの断面図です。
出典:https://blogs.yahoo.co.jp/suusan0811/36426177.html
①フロート(浮袋)
②ニードルバルブ
③バルブシート
ガソリンが減れば浮袋(フロート)が沈みガソリンタンクとの栓(ニードルバルブ)が開いてガソリンがフロート室に流れ込みます。
ガソリンがある一定量になると浮袋(フロート)が上がって来てガソリンタンクとの栓を締めて(バルブとシートが密着)ガソリンの流入を止めます。
キャブレターはエンジンがかかっている間、絶えずフロート室内の浮袋が浮き沈みをし、フロート室内の燃料を一定に保つことで安定した燃料をエンジンに送り出すことが出来るようになっています。
キャブレターがオーバーフローするということは、このフロートの動作が正常に動かなくなっている状態です。
赤丸部が実物のニードルバルブになります。ガソリンの腐った緑色の物体でおおわれており固着しています。
オーバーフローが発生する原因として多いのが長期間車両を放置したことによって、キャブ内のガソリンが腐り、フロートやニードルバルブの固着が発生することによるものが多いです。
この様な場合はキャブレターを取り外し、オーバーホール、清掃作業をすることで症状が回復することが多いです。
キャブレターオーバーホール作業
キャブレターの取り外し方はとても簡単です。
AF61の場合はホース類が4つほどつながっていますのでそれらを全部外します。取り付ける場所を忘れてしまった場合でも、ホースは取り付けられるようにしか取りつきませんので安心してばらしてください。
アクセルワイヤーを外します。
画像の12mmのナット2つを緩めてワイヤーをスロットルから外すと、アクセルワイヤーを取り外すことが出来ます。
オートチョークのコネクターを抜きます。チョーク本体根元のゴムラバーをめくったところにコネクターがあります。
キャブについているエアクリ側のホースと、エンジン側のホースをバンドを緩め外します。
エンジン側を良くマニホールドのボルトから外している人がいますが、そこからはずすと新品のガスケットが必要になるのでホースから外した方がいいと思います。
取り外したキャブレターです。こんな感じの状態で取り外しましょう。
キャブレターを取り外すことが出来たら清掃作業に取り掛かります。
キャブの清掃作業をする際は、『キャブクリーナー』『パーツクリーナー』『各種ドライバー』が必需品です。
私が愛用しているクリーナーは『KURE エンジンコンディショナー』です。
クリーナーを選ぶ際に一番肝心なのは、泡状に噴射されるかです。
クリーナーを選ぶ際は必ず泡状のクリーナを選びます。
KUREのクリーナーはホームセンターなどでも手に入りやすいので愛用しています。
オーバーホール作業といってもやり方はとても簡単です。
キャブレターをとにかく、ばらせるだけばらします。
上側のねじ2本がダイヤフラム室。画像の様にゴムの膜が入っています。これは穴をあけないように丁寧に取り外しましょう。先端にニードルがついていると思います。
下側のねじ3本がフロート室です。
フロートや、メインジェット、パイロットジェットなどを外し上の画像のような状態にします。
上の画像はメインジェットパイロットジェットです。細かい穴がたくさん開いており、そこに汚れなどが詰まっているとエンジンの調子が悪くなります。
穴が細かいので汚れが落ちにくい場合がありますが、キャブクリーナーを吹き付けて1日置いておけば大抵落とすことが出来ます。
最後にオートチョークバルブも取り外し、その先の通路部品も取り外しておきます。
ちなみにパッキン類は劣化や傷み具合がおおきくない限り再使用で問題ないと思います。
全ての部品がばらけました。このように受け皿を用意してキャブクリーナーを吹き付けます。
この様にキャブレターをクリーナーで満たして放置します。
大体30分ほど置けば汚れは落ちてくると思います。
その後汚れをパーツクリーナーでよく流していきます。穴という穴にパーツクリーナーを吹き付けてどこかしらの穴から噴き出して来れば問題なく穴は通じているということになります。
パーツクリーナーを吹き付けたときに、他の穴から出てこな場合はつまりがあると判断できます。
良く汚れを落としたら後は元通りに組み立てていけば終了になります。
あれだけ汚れていたニードルバルブもきれいになって正常に作動するようになりました。
後はキャブレターを車両に元通りに戻していけばOKです。
それから、キャブレターのオーバーフローが発生した場合は必ず、エンジンオイルを交換しましょう。
細かいことは省きますが、オーバーフローを起こした車両のエンジンオイルは正常な役目を果たさなくなります。そのまま使い続けた場合、潤滑不良などを起こし最悪エンジンが壊れます。
エンジンオイルの交換はとても簡単です。
マフラーの下の方についている17mmのボルトがドレンボルトになります。車両を傾けることでオイルパンのオイルを最後まで抜くことが出来ます。
新油を入れる際は上のフィラーキャップを外して入れます。
キャップにオイル量0.7Lと表示されているのでその通りの量を入れます。
作業完了後の確認を行い、エンジン始動問題なし、ふけ上がり等に問題なければ終了です。
エンジン始動不良 まとめ
やる前はわからなくてなかなか取り掛かかる勇気が出ないかもしれませんが、実際やってみるとすごく簡単に作業することができますよ。
長期間放置していたエンジン始動不良のバイクはキャブのオーバーホールで大抵かかるようになると思います。
キャブレターのつくりはどの車種でもそれほど大きな違いはないので一度経験しておくと、他の車両でオーバーホールを行う際もとりかかりやすいかと思います。
これからキャブのオーバーホールに挑戦しようとしている方の参考にしていただければと思います。
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