オルタネーターの基本的な点検ガイド 充電不良などの不具合 




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自動車などに使われているオルタネータの点検方法について、できるだけわかりやすく紹介していきます。

オルタネータが故障すると、バッテリーが充電されなくなり、最終的にはエンジンが掛からないといった不具合が発生します。

またオルタネータ内のベアリングの不良などにより異音などの原因となる場合があります。

この記事ではオルタネータの基本的な点検項目を紹介します。オルタネータの充電不良が発生した際に参考にして頂き故障探求のヒントにしていただければと思います。

また、オルタネータの故障探求には『サーキットテスタ』という道具が必須です。

サーキットテスタにはアナログとデジタル式がありますが、デジタル式の方が使いやすいのでお勧めです。電気系のDIY作業にも使えるので、DIY整備をおこなう人はひとつ持っておきたい工具のひとつです。

オルタネータの交換の際は「リビルト品」への交換が一般的かと思います。

リビルト品に関して詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

先ずはバッテリーの点検が大切

車の充電不良の故障探求を行う際にはまず、バッテリーが正常かどうかの点検を行いましょう。

これを怠ると誤診断の元となりますので基本に返って診断することが大切です。

バッテリーの点検は主に以下の項目を点検します。

・バッテリー起電力 基準値12.4V以上/20℃(バッテリー液温)

バッテリーの起電力はサーキットテスタを使って測定します。プラス端子とマイナス端子にリード線を当て測定します。

・バッテリー比重 基準値1.220~1.290/20℃(バッテリー液温)

バッテリーの比重を計るには『比重計』という工具が必要となります。

あまり個人で所有している方は少ないと思いますが、バッテリーの点検を行う際には必須の工具です。

比重が基準値より低い場合は充電不足が考えられます。極端に低い場合はバッテリーの劣化が考えられるので交換が必要となります。

また、各セルごとの比重のばらつきも重要です。各セルごとの比重のばらつきは「0.05以下」とされています。

電解液を補充した際はバッテリー比重が低下しますので充電が必要です。

・電解液の色 にごりのないこと

電解液の色は濁りがない無色透明です。色が灰色く濁ってきているようならバッテリーの劣化が進んでいるといえます。

異常な状態のバッテリーを使用し続けるとオルタネーターの故障の原因となる場合があります。これらの点検で異常があった場合

バッテリーの交換を推奨します。

オルタネータの基本点検項目

・キースイッチON時チャージランプが点灯しない

車両側接続コネクターの接続を確認する。

車両側コネクターを外してIG端子に12Vの電圧が来ていることを確認してください。

コネクタ

このコネクタにIG端子があります。

・エンジン始動後チャージランプが点灯する

車両側コネクタの接触不良がないか。接触不良を起こすと調整電圧が上昇しチャージランプが点灯する場合があります。

車両側、オルタネータ側の端子に異常がないこと。

・調整電圧が低い 基準値13.5V~15.2V 2500rpm

ベルトの張り具合の点検。ベルトの張り具合の基準値は車種ごとによって異なりますが、10kgの力で押し込んだ時10mm程度たわむのが正しい張り具合です。

点検時はオルタネータのB端子とアースで点検しましょう。

B端子

画像がB端子です。こことアースで測定します。

バッテリー端子での測定の場合、電線の電圧降下により低く表示される場合があります。

また、負荷電流が多い場合も電圧が低くなる場合があります。

・出力電流の測定 基準値公称出力の70%以上

出力電流の測定は「クランプメータ」という道具が必要となります。

このような道具を使い測定を行います。

アンペアクランプ

オルタネータのB端子からバッテリーにつながる太い配線にクランプすることで計測できます。

車両を電気負荷最大の状態で測定します。ヘッドライトハイビーム、エアコンブロア最大にした状態で電流を測定します。

基準値は基準値公称出力の70%以上となり車両によって若干異なりますが、30A以上が基準値となります。

ちなみに、上の画像の測定値は19Aでしたので、充電電流が不足しています。この場合、オルタネータの不良が考えられます。

そのほかの充電系統の点検項目

そのほかの点検項目について紹介します。

・リーク電流の計測 基準値20mA以下

リーク電流が大きいとバッテリー上がりを起こしやすくなります。

リーク電流の計測はサーキットテスタのレンジをアンペアにして測定します。電気負荷はすべてOFFにします。

バッテリー端子のマイナスを外し、マイナス端子とバッテリーのマイナスターミナルの間で計測します。

リーク電流が大きすぎるということはどこかで電気を以上に消費しているということです。その多くは後付でつけている装備品の場合が多いので心あたりのあるものを外して再測定してみましょう。

・電圧降下の測定 

電圧降下の測定は、オルタネータ本体とマイナス端子で計測。オルタネータ本体とオルタネータB端子で測定します。

基準値は前者が0.1v以下 後者が0.5V以下となります。

エンジン回転数は2500rpmで測定。

基準値より高い電圧が測定されて場合は、接触不良などが考えられます。接触端子等を点検してください。

・異音等の点検

LLC、オイル等が侵入していないか。オルタネータ取り付け部のブッシュは規定位置に移動しているか。

オルタ ブッシュ

赤丸部のブッシュが締め込むことにより矢印方向に移動します。車両側と隙間がある場合歪み等が発生し異音等の原因となります。

 

また、プーリーの異音の点検には「サウンドスコープ」という工具を使います。

こちらの工具を使用することで、異音の発生個所を特定するのに役立ちます。

まとめ

最後にもう一つ充電系等の点検で大切なことですが、エンジンが掛かっているときにバッテリーの端子を外すのは良くありません。

発電された電気が急に行き場をなすことで、逆起電力を発生しオルタネータのレギュレータ等の故障を招く恐れがあります。

 

ここで紹介した点検により、測定した値が基準値より大きく外れている場合はオルタネータに何らかの不具合が発生していると考えられます。

 

充電不良の原因で特に多いのが、IC式ボルテージレギュレータの故障です。

IC式ボルテージレギュレータ

画像赤丸部がIC式ボルテージレギュレータです。

黒い丸がたくさんついている方はダイオードという部品になります。どちらもオルタネータ内部にあります。

オルタネータは故障した際はリビルト品への交換が一般的ですが、いずれにせよ修理費が高くなってしまうことが多いので、正しい故障診断をし一発完治させることが費用を抑えるために大切なことといえます。

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