基礎自動車工学について
基礎自動車工学とは、自動車整備のスタート地点のようなものです。この記事では自動車の基礎工学についてできるだけ簡単にわかりやすく先ずはこれだけは頭に入れておきたいというものをまとめています。
このページの目次
道路運送車両法による自動車の分類
- 普通自動車・・・3ナンバー
- 小型自動車・・・5ナンバー
- 軽自動車 ・・・黄5ナンバー
- 大型特殊自動車
- 小型特殊自動車
さらに用途によって『乗用』と『貨物』に分類される。(運転免許の分類は道路交通法)
大きさ
- 長さ・・・12m以下
- 幅 ・・・2.5m以下(ミラーは含まれない)
- 高さ・・・3.8m以下(キャリアは含まれない)
- 一輪あたりの重量・・・5t以下
- 一軸(左右輪)あたりの重量・・・10t以下
車両の重量・・・20t以下(一部車両を除く)
駆動方法とエンジンの位置
- フロントエンジン・フロントドライブ<FF車>
前方にエンジンがあり、前のタイヤを駆動させる
- フロントエンジン・リヤドライブ<FR車>
前方にエンジンがあり、後のタイヤを駆動させる
その他・・・MR(ミッドシップエンジン・リヤドライブ)RR(リヤエンジン・リヤドライブ)
シャシ装置(エンジン以外全部)
- 動力伝達(ドライブトレーン)
- 懸架、緩衝(アクスル、サスペンション)(ケンガ、カンショウ)
- 操舵(ステアリング)
- 走行(タイヤ、ホイール)
- 制動(ブレーキ)
- 車体(ボディ、フレーム)
- 電気装置(エレクトリカル)
動力伝達装置
「エンジンで発生した動力を駆動輪(タイヤ)まで伝える装置」
・FR:e/g→クラッチ→トランスミッション→プロペラシャフト→ファイナルギヤ(ディファレンシャル)→アクスルシャフト→リヤタイヤ
・FF:e/g→クラッチ→トランスミッション→ファイナルギヤ(ディファレンシャル)→ドライブシャフト→タイヤ
FF車の場合、トランスミッションとファイナルギヤ(ディファレンシャル)が一体となっておりトランスアクスルと呼称される。
クラッチ
・エンジンの動力を必要に応じて断続する。「動力断続装置」
- マニュアルトランスミッション(MT)・・・摩擦版を利用。(ダイヤフラムスプリング、コイルスプリング)
- オートマチックトランスミッション(AT)・・・流体(液体)を利用。(トルクコンバーター)
クラッチがつながっている=スプリングが伸びた状態で摩擦版をエンジン(フライホイール)に押し付けている。
クラッチを切る=スプリングを縮めた状態になり、摩擦版とエンジン(フライホイール)が離れている。
トランスミッション
クラッチ(エンジン)からの動力を走行状態によって切り替える。「変速機」
- トルク(回転力)を大きくする・・・力が出る
- 回転速度を早くする・・・スピードが出る
ギヤの大きさのかみ合わせを変えることによって行う→「変速」という。普通車の変速は一般的に全身5段、後退1段
またギヤのかみ合いによって「変速比」が変わり。減速、直結、増速が行われる。
例:1stギヤの場合、10ギヤが35ギヤとかみ合うことにより減速が行われる。この場合トルクが3.5倍になり速度は1/3.5倍になる。
オートマチックトランスミッション
変速を油によって自動的に行う。
- トルクコンバータ(クラッチ)
- プラネタリギヤユニット(変速機) 遊星ギヤ=プラネタリギヤ
- ハイドロリック・ユニット(油圧制御)
CVT・・・Continuously Variable Transmisson (連続して)(変わる)
無段変速機:幅(径)の変わるプーリー(ベルトのかかる部分のこと)を用いており、変速ショックがない。現在のオートマチックトランスミッションの主流になっている。
プロペラシャフト、ユニバーサルジョイント
トランスミッションで変速された動力を車両後方(ファイナルギヤ)に伝達する。トランスミッションとファイナルギヤに高低差があっても円滑に動力を伝える。
ユニバーサルジョイント:フックジョイント(プロペラシャフト両端)等速ジョイント(FF車ドライブシャフト)
ファイナルギヤ、ディファレンシャル
ファイナルギヤ・・・ドライブピニオン(歯数が少ない)リングギヤ(歯数が多い)
トランスミッションで変速された動力を大きく減速する。「最終減速装置」動力の回転方向を90度変える。
ディファレンシャル・・・ファイナルギヤからの動力を左右輪に伝える。旋回時左右輪の回転速度を吸収する。「差動装置」旋回時外側のタイヤは早く、内側のタイヤは遅く回転する。
アクスル、サスペンション
アクスル・・・車輪を正しい位置に保持。自動車荷重や路面からの衝撃を支える。「懸架装置」
サスペンション・・・路面からの衝撃を緩和する。「緩衝装置」ばねを用いている。
- 車軸懸架式:左右輪が一本の軸でつながっている。
- 独立懸架式:左右輪が各々動くことが出来る。
ステアリング装置
走行中の自動車の進行方向を変える。「操舵装置」
- 油圧やモーターで補助動力を発生する=パワーステアリング(PS)
4輪の向きを変えることが出来る(通常フロントのみ)=4ホイール・ステアリング(4WS)
運転者がハンドルを回す・・・ステアリングホイール→ステアリングシャフト→ステアリングギヤBOX→ラックエンド、ピットマンアーム、タイロッド等
ステアリングギヤBOXは、ボールナット式、ラック&ピニオン式に分けられる。
タイヤ、ホイール
自動車の荷重を支えて回転し、衝撃を緩和する。「走行装置」
タイヤはカーカスコード(タイヤの骨組み)の配置によって分類される。
- ラジアルタイヤ:タイヤ円周方向に対し垂直に配置。かたい。
- バイアスタイヤ:斜めに交差して配置。柔らかい。
ホイールアライメント
アクスルとホイールの位置関係(角度)
垂直安定性、タイヤの向きの復元力に関わる。
- トーイン
- キャンバ
- キャスタ
- キングピン傾角
ブレーキ
自動車の速度を制限したり、停止させたりするもの。「制動装置」
エンジン・・・熱エネルギー→運動エネルギー
ブレーキ・・・運動エネルギー→熱エネルギー→熱を放散
操作機構:油圧式、エア油圧式、エア式などがある。ブレーキ本体を何によって操作するかで分類される。
補助機構:制動力倍力装置、プロポーショニングバルブ、アンチロックブレーキシステム
- 制動力倍力装置・・・運転者の踏力を倍増する
- プロポーショニングバルブ・・・リヤブレーキの制御(後輪早期ロック防止)
- アンチロックブレーキシステム・・・車輪ロック防止(車両姿勢安定)
ロックとは・・・車輪の回転は止まっているのに車輪が路面上を滑っている状態。路面との摩擦が無くなるので、操舵がきかず止まらない。スリップ100%ともいう。
フレーム、ボデー
- 自動車の骨格:フレーム 「車体装置」
- 人員、荷物を収納:ボデー
- モノコックボデー:フレームとボデーが一体化したもの。乗用車では一般的。
基礎自動車工学まとめ
基礎自動車工学は自動車整備の基本中の基本!この記事の内容はしっかしと頭に叩き込んでください。
ここが自動車整備のスタート地点です!