一発死んでいるエンジンの症状とは? 診断方法と修理内容
エンジンが一発死んでいる状態というのは、ある特定のシリンダーで燃焼が正しく行われなくなってしまう状態を言います。
エンジンが一発死んだ状態になる原因としては、様々な要因がありますが、診断をするときの基本的な考え方は、『ガソリンエンジンの3要素』をもとに考えます。
エンジンが一発死んだ状態の車に乗ると、エンジンの調子が悪いのがわかるかと思います。
主な不具合としては、
『エンジンの振動が大きい』
『アイドリング中などでもブルンブルンと大きく震えるまた』
『加速の状態が極端に悪くなる』
などの何らかのエンジンの不具合が必ず感じられると思います。
今回は一発死んだ状態のエンジンの診断と修理を行いましたのその時の方法を紹介します。
またガソリンエンジンの3要素については別の記事で詳しくまとめていますので、参考にしてください。
一発死んだエンジンが調子悪くなる理由
一発死んでいる状態のエンジンがなぜ調子悪くなるもかの理由をわかりやすくまとめます。
車のエンジンというのは、複数の気筒からなっています。現在の大衆車のほとんどが4気筒エンジンか3気筒エンジンですね。
上の画像は4気筒エンジンのシリンダーブロックです。
各気筒内で絶えず適切な状態でガソリンが燃焼することで、エンジンは調子よく動き続けることが出来ます。
ところがこの4つある気筒のひとつで、ガソリンの三要素である『良い火花』『良い混合気』『良い圧縮』のいずれかに、何らかの不具合が起こり適切な状態でなくなると、ガソリンが正常に燃焼することがでなくなります。
一発死んだ4気筒エンジンは3気筒エンジンのような状態になります。
ひとつの気筒で燃焼が行われなくなると、死んでしまった気筒が足かせの状態になってしまいます。
燃焼のバランスが崩れスムーズにかかり続けることが出来なくなり、ブルブルと異常な振動が発生したりします。当然エンジンの力もなくなり加速が悪くなったりしてしまいます。
一発死んだエンジンの原因には必ず『エンジンの3要素』が絡んできます。しっかりと理解しておくことが重要です。
一発死んだエンジン 診断方法
一発死んだエンジンの不具合の点検方法としては、『パワーバランステスト』という方法が最も有効です。
パワーバランスとは、故意に特定の気筒の燃焼を止めることで、不具合のある気筒の判別に使えます。
故意に燃焼を止める方法としては、インジェクタのカプラーを抜いて燃料の噴射を止めることで行います。
画像の赤丸部はインジェクタの画像です。インジェクタは気筒数分ついています。4気筒なら4つ。
画像の様にエンジンがかかっているときに、インジェクターのカプラーを抜きます。するとカプラーが抜かれたインジェクタには電源が供給されませんので、燃料の噴射が止まります。
このとき正常な気筒はカプラーを抜いた瞬間さらにエンジンの調子が悪くなります。
逆に異常がある気筒のカプラーを抜いても変化がありません。
このパワーバランステストを行うことで、不具合の気筒を判別することが出来ます。
不具合のある気筒を判別できたら、その気筒でガソリンの3要素の点検を行います。
『火花点検』や『インジェクタの作動音』の点検などがあります。
今回は1番気筒に何らかの不具合があることが判別できたので、まずはインジェクタの作動音を点検することにしました。
インジェクタの作動音の点検にはサウンドスコープという工具を使います。
インジェクタの作動音は「カチカチカチカチ」と高速で作動している音が聞こえます。
今回の場合は不具合のある1番気筒のインジェクタ作動音が聞こえませんでした。正常な気筒と聞き比べながら行うと聞きやすいです。
このことから、1番気筒のインジェクターに不具合が発生し燃料が噴射されていない状態だということがわかりました。
次にインジェクターの単体点検を行います。エレキテスターを使用してインジェクターの端子間どうしで抵抗を計ります。
正常なインジェクタの抵抗値は約14Ωほどになります。
不具合のあったインジェクタの抵抗値は∞Ωでした。このことから、インジェクタ内部の断線がある事がわかります。
今回不具合のあったエンジンは1番気筒のインジェクタの不具合(内部断線)によるものでした。
インジェクタの内部断線により燃料が噴射されず1発死んだ状態になっているというものでした。
一発死んだエンジン 修理内容 費用
インジェクタに不具合が起きた場合はインジェクタASSYの交換が必要になります。
インジェクタを交換する場合は必ず、ガスケットも同時に交換してください。燃料漏れの原因となり大変危険です。
インジェクタはデリバリパイプにくっついた状態ですので、デリバリパイプごと取り外します。ある程度のスペースが出来れば、配管などは外す必要はありません。
交換したインジェクタの画像です。縦に一本大きなヒビが入っているのがわかるかと思います。
このヒビが今回の不具合と直接関係しているかまではわかりませんが、正常な状態でないのは確かなようです。
インジェクタを正常なものと交換すると、エンジンの不具合は解消されました。
インジェクタ 費用
インジェクタは部品の値段が結構高いです。
インジェクタASSYで一本20000円前後します。
同時に交換が必要になるガスケット類は数百円です。
取り換えの工賃は7000円前後になる事が多いかともいます。
なのでインジェクタ1本の交換費用は大体30000円前後するということになります。
結構高額な修理代ですよね。
インジェクタは4気筒のエンジンならば4つついています。そのほかのインジェクタにも不具合が発生する可能性も考えられるので、その時は各気筒を修理するごとに30000円前後の修理代がかかることになります。
一発死んでいるエンジン まとめ
今回は20万km走行したエンジンのインジェクタの不具合が原因でした。
一発死んでいるエンジンの不具合個所としてもう一つよくあるのが、イグニッションコイルやプラグの不具合により、一発死んだ状態になることもあります。
点検方法としては上の方でもちらっと出てきた『火花点検』です。
イグニッションコイル不具合の点検方法などは下の記事でまとめていますので参考にしてみてください。
一発死んだエンジンはリーン異常などのダイアグが入りエンジンチェックランプが点灯することもあります。