トヨタハイブリッド車 ブレーキ制御禁止モードの入れ方 フルードエア抜き手順
トヨタのハイブリッド車のブレーキフルードの交換方法は通常のガソリン車とは異なり、『ブレーキ制御禁止モード』というモードに入れて行う必要があります。
このブレーキ制御禁止モードに入れてからでないと、ブレーキフルード交換が正常に行われません。
理由としてはトヨタのハイブリッド車には回生ブレーキという機構が用いられているためです。通常のガソリン車とはブレーキの構造が違います。
ブレーキ制御禁止モードへの移行は、コンピュータを使わなくても車両である操作を行うことで移行できます。またフルードを抜く順番もガソリン車とは異なりますので紹介していきます。
通常のガソリン車のブレーキフルード交換方法を知りたい方は、別の記事でまとめていますので参考にしてください。
このページの目次
回生ブレーキとは
回生ブレーキについて簡単にご説明します。
わかっている方は読み飛ばしてかまいません。
今までのガソリン車のブレーキはブレーキペダルの踏力が直接ブレーキフルードを介してブレーキをかけており、運動エネルギーを摩擦エネルギー(熱エネルギー)にして捨てているだけでした。
トヨタハイブリッド車の回生ブレーキは、ブレーキ時に発生した捨てるだけだった熱エネルギーを電気エネルギーにして回収する仕組みになっています。
電気エネルギーを回収するのにモーターで発電を行っていますので抵抗が発生し車を止めようとする力になります。発電の抵抗だけでは制動力としては足りない場合があり、不足した制動力を油圧ブレーキで補う仕組みになっており、お互いが協調して制御を行っています。
そのため回生ブレーキはブレーキペダルの踏力がそのままフルードに作用するわけではありません。
ハイブリッド車のブレーキフルードは一時的にポンプによってアキュームレ―タと呼ばれるタンクのような場所にためられます。モータと油圧ブレーキが協調制御を行い、必要に応じてアキュームレ―タからブレーキへフルードが圧送されて制動力を生んでいます。
トヨタハイブリッド車はブレーキ時にこの様な制御が働くため、フルード交換を行う際はこの制御を一時的に解除する『ブレーキ制御禁止モード』に入れてからフルード交換を行います。
ブレーキ制御禁止モードの入れ方
この方法は30系プリウスからそれ以降に販売されたすべてのハイブリッド車で使える方法です。
~ブレーキ制御禁止モードに入れる手順~
1.パーキングブレーキ(サイドブレーキ)をかけます。
2.IGONの状態にします。プッシュスタートスイッチの場合ブレーキを踏まずにスイッチを2回押した状態です。
3.ブレーキを踏んでシフトを「N」ポジションに入れます。
4.「N」ポジションに入ったら、ブレーキペダルを10回ぺダリングします。
5.ブレーキを踏んでシフトを「P」ポジションに入れます。
6.「P」ポジションに入ったら、ブレーキペダルを10回ぺダリングします。
7.ブレーキを踏んでシフトを「N」ポジションに入れます。
8.「N」ポジションに入ったら、ブレーキペダルを10回ぺダリングします。
9.ブレーキを踏んでシフトを「P」ポジションに入れます。
10.ブレーキ警告灯(オレンジ色)が点滅したらブレーキ制御禁止モードに入りました。
画像赤丸部のオレンジ色のビックリマークのようなランプが点滅すれば完了です。
手順10までの操作が終わって、ブレーキのポンプが作動しているときは作動が終わるとモードに入ります。
ポンプの作動が止まるまで少し時間がかかる場合があります。ポンプ作動中は「ジー」というポンプの作動音が聞こえます。
モード移行の操作中にピーピーと警告音が鳴る場合がありますが、アキュームレ―タ内の圧力が下がったための警告音で問題はないので操作を続行してください。
覚え方としては「N」「P」「N」でブレーキ×10回と覚えると覚えやすいです。
ブレーキ制御禁止モードはIGOFFすることで解除されます。
この状態でブレーキのフルードを交換します。
交換の手順もガソリン車とは異なるので紹介します。
ブレーキ制御禁止モードの入れ方 動画説明
この記事をたくさんの方に読んでいただいているようなので、さらに分かりやすいようにと思い動画を作成しました。
文字だけの説明より、より分かりやすいかなと思います。
車は30系プリウスになりますが、トヨタのハイブリッド車であればどの車種でも操作方法は同じです。
トヨタハイブリッド車 ブレーキフルードの交換手順
通常のガソリン車ならば、左後ろ、右後ろ、左前、右前、の順でそれぞれぺダリングをしてフルード交換を行うと思いますが、トヨタハイブリッド車の場合手順が異なるので注意してください。
1.上で紹介した方法でブレーキ制御禁止モードにいれ、ブレーキフルードをリザーバタンクに立てます。
2.右前のブレーキからフルードをぺダリングして抜きます。10回ぺダリングをして最後にペダルを踏み終えると同時にブリーダプラグを締めます。
3.次に左前のブレーキからフルードをぺダリングして抜きます。10回ぺダリングをして最後にペダルを踏み終えると同時にブリーダプラグを締めます。
4.次に左後ろのブレーキからフルードを抜きます。ブレーキペダルを踏みっぱなしにすることでポンプからフルードが圧送されるので、7秒間抜いてブレーキペダル踏んだままブリーダプラグを締めます。
5.次に右後ろのブレーキからフルードを抜きます。同じようにブレーキペダルを踏みっぱなしにすることでポンプからフルードが圧送されるので、7秒間抜いてブレーキペダル踏んだままブリーダプラグを締めます。
6.フルード交換は終了です。一度IGOFFにしてIGONにします。
7.ブレーキペダル数回ぺダリングします。ブレーキポンプが作動(ジー音が聞こえます)するのを確認してIGOFFします。
8.ブレーキフル―ドリザーバーの液面を、補助ラインがあるものは補助ラインに、ないものはMAXラインに合わせます。
画像赤丸部の線が補助ラインです。通常MINラインとMAXラインの間にあります。
以上でブレーキフルードの交換作業は終了になります。補助ラインに液面を合わせないとブレーキフルードがあふれる恐れがあります。
50系プリウスのフルード交換について
2015年に発売された4代目にあたる50系プリウス以降のハイブリッド車のブレーキフルード交換方法が若干異なっているので、別の記事で紹介します。
ブレーキ制御禁止モードへの移行の仕方は変わらないのですが、フルードの抜き方が若干異なります。
50系プリウス以降のブレーキフルードを交換する際にうまくできなくて困っているという場合は参考にしてください。
トヨタハイブリッド車のブレーキフルード交換方法 まとめ
トヨタハイブリッド車のブレーキフルード交換は必ずブレーキ制御禁止モードに入れてから行ってください。
これを怠ってフルード交換を行うと、正常にフルード交換が行われず車がブレーキの異常を感知しチェックランプが点灯してしまうことがあります。
また車のブレーキフルードの交換時期は2年に1回ですので、車検毎の交換を行うのが理想です。
トヨタハイブリッド車のブレーキフルードにはトヨタ純正ブレーキフルードをおすすめします。
長年ブレーキフルードを交換していない場合、最悪ブレーキが効かなくなる恐れがあるので大変危険です。ブレーキフルードの交換は正しい方法交換時期で行いましょう。
またハイブリット車の車検を受ける際は車を「整備モード」に入れて検査ラインに入る必要があります。
整備モードにするやり方についてはこちらの記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
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