ドライブシャフトの異音の原因 リビルトパーツへの交換と費用
FF車で走行距離が多い車に、ありがちな不具合がドライブシャフトの異音です。
FF車のドライブシャフトはFR車に比べて、走るのほかに、曲がったり、伸縮したりする役割もあるため、ドライブシャフトにかかる負担がものすごく多くなっています。
そのため走行距離が多くなると異音が発生することがあります。
ドライブシャフトの異音の種類としては、走行中にタイヤの方からカラカラ音がしたりします。
特に、交差点、カーブなどを曲がろうとハンドルをいっぱいに切った状態で前進すると、タイヤの方からカラカラ音やガラガラ音がすることが多いです。
動画で音を確認してみてください。
異音が発生したドライブシャフトは基本的に交換となります。
この記事では、主にFF車の異音が発生したドライブシャフトの修理方法や、修理費用などについてまとめていきます。
ドライシャフトの異音が発生する原因
ドライブシャフトの役割はミッション(ディファレンシャル)からの回転運動をタイヤの伝える役割があります。
ドライブシャフトは回転エネルギーをタイヤに伝えるとともに、道路の段差の上下運動に対応したり、ハンドルからの左右の動きに対応したりと360°いろいろな方向から絶えず力を受けて支えています。
360°どの方向からもスムーズに力を受けられるように、ジョイント部には等速ジョイントという特殊なジョイントが使われています。
画像は等速ジョイントの内部で、中にはグリースが充填されています。
ジョイントとは人間でいう関節に当たる部分で、車の場合金属と金属同士が組み合わさってできています。そのままでは金属同士がこすれて摩耗してしまい、ジョイント部がガタガタになってしまいます。
ジョイント部がガタガタになってしまわないよう、ドライブシャフトのジョイント部にはこのようにグリースが充填されています。
さらにそのグリースが外に飛び出してしまわないように、ブーツというゴム製のカバーでおおわれています。
ドライブシャフトブーツはこのように蛇腹の形状をしており、回転しながら色々な方向からかかる力に対応できるようになっています。
と、ここまではドライブシャフトの基本的な役割な話でした。
ここからが、ドライブシャフトの異音につながる話です。
ドライブシャフトの異音はジョイント部分にガタが発生することで起きます。
ガタが発生するメカニズムを説明します。とても単純なことです。
車の走行距離が多くなってきて、年式も古くなってくると、ドライブシャフトブーツの劣化が進みます。
劣化の進行がさらに進んで来ると、やがてドライブシャフトブーツが切れてしまいます。
画像の赤丸部分はドライブシャフトが切れている様子です。
ドライブシャフトブーツが切れると、遠心力により中のグリースが外に飛び出してきます。また中に砂などの異物が入り込みジョイント部にかみこんだりします。
この画像赤丸部の様にグリースが飛び散ってしまいます。
早めにドライブシャフトブーツの破損に気が付き、ブーツの修理を行えば、異音は発生せずに済みます。
しかし、気が付かずそのまま走行を続けると、やがてジョイント部のグリースがすべてなくなって、潤滑不良となります。潤滑不良となった、ジョイント部は金属同士がこすれ合わさって、摩耗が進みガタが生まれます。
そうして発生したガタがドライブシャフトの異音を発生させる原因です。
ハンドルをいっぱいに切って前進した時にカラカラ音やガラガラ音を発生させてしまいます。
発生したガタは直すことが出来ませんので、部品の交換が必要となります。
ドライブシャフト異音を防ぐには、定期的なメンテナンスをしっかりして、早めにブーツ類の破損に気づけることが大切です。
早めに対処が出来ていればブーツの交換だけですんだものを、異音が発生してしまったが為にドライブシャフトをの交換が必要となると当然費用も高くなってしまいます。
ちなみに、ドライブシャフトブーツの交換は別記事で詳しくまとめていますので、参考にしてください。
スピ―ジーという交換専用の割れブーツを使用しています。
ドライブシャフト リビルトパーツへの交換
ドライブシャフトの交換の際はリビルトパーツへの交換がほとんどかと思います。
リビルトパーツとは使えなくなった部品の、駄目なところだけを修理して使えるようにした、再生部品です。
リビルトパーツを使うことで、費用をぐっと抑えることができ、尚且つしっかりとした性能のパーツを使うことが出来るようになります。
リビルトパーツは粗悪品を扱う業者もいるようですがしっかりとしたリビルトメーカーのものなら、品質もしっかりしており安心して使うことが出来ますので、リビルトパーツのあるものは積極的に使っていきましょう。
ドライブシャフト交換手順
ドライブシャフトの交換をDIY作業でおこなう人は少ないと思いますが、交換の手順を紹介します。
先ずはドライブシャフトのロックナットを緩めます。
通常ドライブシャフトのロックナットはかしめてありますので、かしめを解いてから緩めてください。
ドライブシャフトはスプライン加工がされており、ナックルとかん合しています。
このかん合部分が錆で固着していてなかなか外れません。
赤い矢印の円周部分に潤滑剤を浸透させて、ハンマーで先端をたたき固着を解除してください。
ロアボールジョイントとタイロッドエンドのジョイントをボールジョイントセパレーターを使って外します。
ロアボールジョイントを外す。
タイロッドエンド外し。
全てが外れると、ドライブシャフトをナックルから抜くことが出来ます。
ドライブシャフトを、トランスミッションから抜きます。
トランスミッションから抜く際は、スライディングハンマーなどの特殊工具を使用したりもしますが、今回はプライバーという道具を使います。
プライバーは貫通式のものを使用してください。
画像の赤丸部の個所にプライバーを当ててハンマーでたたいたり、てこの力を利用してドライブシャフトを抜きます。
この作業は慣れないと結構苦労しますが、慣れればすんなりと外す事が出来ます。
ドライブシャフトのオイルシールに損傷がなければ、再使用でかまいません。
リビルトのドライブシャフトを取り付けます。
画像赤丸部のドライブシャフトのキーの合口隙間が下にくるのようにして取り付けを行うと、ミッションに刺さりやすいです。
カツンと音がするまでしっかりと差し込みましょう。
後は元の手順で戻していけばOKです。
ドライブシャフトのロックナットの締め付けトルクは30mmのナットのものでおよそ200N・mです。
試乗を行い末切りの前進時に、ドライブシャフトからの異音が無くなっていることを確認してください。
ドライブシャフト 交換費用
ドライブシャフトの新品の値段は約30000円ととても高価です。
リビルトパーツならば、10000円ほどで購入出来ます。
リビルトパーツの部品の耐久性としては新品のものより若干劣るかなくらいで、新品のものと性能的に差はほとんどないのでかなりお買い得かなと思います。
車屋に依頼した場合の工賃は15000円くらいになることが多いかと思います。
結構大掛かりな作業になりますので、工賃も高めになっています。
リビルトパーツで交換した際の修理費用は工賃込で25000円くらいになるかと思います。
DIY整備で交換するのはなかなか厳しいと思います。
ドライブシャフトの異音
ドライブシャフトの異音を防ぐ一番のポイントは定期的な点検です。
早めにブーツの損傷に気づくことが出来れば、異音も発生することはなく、修理費用も安く済みます。
ドライブシャフトは、ブーツが切れていなくても、走行距離が多くなれば、異音が発生する事があります。グリースで潤滑されているとは言っても、若干の摩耗はある為です。
走行距離が多くなった車は、不具合が出たとしても多少しょうがないところです。
ドライブシャフトの異音は発生したまま放っておくと、最悪ジョイント部の分解につながり走行不能になってしまう可能性がります。
交差点を曲がる際に異音などを感じた場合はなるべく早急に点検修理をおこなうようにしましょう。