クラッチの不具合、交換時期、交換費用について
クラッチの交換時期は運転者の操作方法によって違いが出てきますが、概ね「10万km前後」が目安となります。
クラッチの状態は外観からは判断できませんが、クラッチの切れ具合、クラッチのつながり具合、クラッチの滑り具合などから判断することができます。
クラッチの不具合を知ることでクラッチの交換時期を知ることが出来ます。
この記事ではクラッチの不具合の判断方法をなるべくわかりやすくまとめています。
このページの目次
クラッチの不具合
クラッチの切れ、クラッチの滑り、クラッチのつながり具合の機能が正常に行われているかで、クラッチの不具合を判断する材料になります。
「クラッチの切れ」
くっついたり離れたりがきちんと行われているか?
切れが悪いとどうなるか~変速時ギヤなり、変速困難(ギヤの入りが悪い)
・切れ不良の原因
- クラッチの遊びが多い(油圧式の場合エア混入)
- クラッチディスクの振れ、歪み
- ダイヤフラムスプリング中央先端部の高さ不揃い
- クラッチディスクとシャフト部のしゅうどう不良(サビ、摩耗)
「クラッチの滑り」
クラッチディスクがフライホイールに強く接触しているか。
滑りがあるとどうなるか~走行時アクセルを踏み込んでもエンジン回転数が上がるだけで、車速が上がらない。
・滑りの原因
- クラッチディスクの摩耗、油分などの付着
- クラッチスプリングの衰損、折損
- クラッチ遊びの過小
クラッチの滑りが発生していた、クラッチディスクです。
フェーシングからリベットの溝の深さを測定します。深さがリベットの高さと同じになったものは交換時期となります。
「クラッチのつながり具合」
つながりが悪いとどうなるか~クラッチ接続時に異常振動が起こる(ジャダ―)
・つながり不良の原因
- クラッチディスク(フェーシング)の表面硬化
- ダンパスプリングの衰損、折損
- クラッチディスクの振れ
- ダイヤフラムスプリング中央先端部の高さ不揃い
~上記のような不具合が発生している場合はクラッチの交換時期と判断してよいでしょう~
この写真は、クラッチをつなげたときに、振動と異音がするということで修理をしたものになります。
クラッチのダンパスプリングが折損してしまっています。
スプリングが破損していたことで、クラッチがつながった時の衝撃を吸収できずに異音、車体の振動の発生が起きていました。
フェーシングに異常摩耗がみられます。フライホイールにも異常摩耗していたので、同時交換となりました。
クラッチディスクの摩耗とクラッチの遊び
クラッチディスクが摩耗するとダイヤフラムスプリングはクラッチディスクを押し続けようとするため、プレッシャプレートと共にフライホイール側に移動し、その分中央部が立ち上がる。
レリーズベアリングの位置は変わらないので、ダイアフラムスプリングが立ち上がった分ベアリングとの隙間は小さくなる。
すると、クラッチペダルを少し踏んだだけでベアリングとスプリングが当たるので遊びは小さくなる。(クラッチが滑る)
つまり、クラッチの残量が少なくなると、クラッチペダルの遊びが減ります。
ペダルを踏んだ時、上の方でクラッチが切れるようになります。
クラッチの交換費用
クラッチを交換する場合はミッションを車から降ろす作業になりますので、工賃が高くなります。
そのためミッションを下した際に同時に交換できる部品(クラッチカバー等)は一緒に交換する場合がほとんどです。
また走行時やアイドリング時の異音の原因にもなるレリーズベアリングやパイロットベアリングも同時に交換しておくといいと思います。
距離数によってはクランクシャフトのリヤオイルシールも交換になります。オイルシールは劣化するとオイル漏れの原因となります。
交換の際の部品代と工賃はおおよそ以下の通りです。
- クラッチディスク:約6500円
- クラッチカバー:約8000円
- レリーズベアリング:約3000円
- フライホイール:約25000円(異常がなければ再使用します)
- ミッションオイル:約1L1000円
工賃は大体20000~30000円ほどになるかと思います。
部品と工賃を合わせた金額はおおよそ70000円前後になってくるかと思います。
クラッチの不具合、交換時期についてまとめ
クラッチは消耗部品ですので定期的な交換を行いましょう。
クラッチ操作で半クラッチを多く使う乗り方の人はクラッチの摩耗が早くなります。なので5万kmで交換になる人もいれば10万km以上もつ方もいます。
マニュアル車の整備をする際は今回の記事に書いたクラッチの不具合を点検してクラッチの交換時期を確認してみてください。