タイヤショベルエンジン始動不良 オルタネータ交換
タイヤショベルのエンジン始動不良のトラブルシュートをまとめた記事です。
型式:LK120Z
コベルコのステッカーがありますが、川崎重工製です。
昨日まで使えていたが、今朝からエンジンが掛からなくなったという状態です。
このページの目次
故障探求トラブルシュート
エンジンが掛からないという状態でしたので、キーシリンダーを回してるとセルモータが回りません。
セルモータが回らない場合はバッテリーの過放電を疑いますが、メーター類は表示されており警告ブザーも聞こえています。
年のためバッテリー電圧を計りますが、正常です。
こうなると次に疑うのはセルモーターのC端子電圧になります。
キーをスタート位置に回した時にC端子に電気が来ているか確認します。
点検の結果C端子に電気は来ていませんでした。
試しに、B端子からC端子に直接電気を流すとセルモーターは回りました。
セルモーターは正常と判断できました。
この車両にはスタータリレーとセーフティリレーがついているので、そちらの不具合を疑います。
スターターリレーに入る信号線やB端子電圧を点検します。
その前に、点検始まった時から気になっていたのですが、イグニッションONの状態ですでにチャージランプが消えています。
それどころか、キーをOFFにしてもバッテリーリレーがOFFにならず電源が切れません。
このパターンの不具合で疑うべきはオルタネータです。
オルタネータにはL端子というものがあります。
このL端子はエンジンが掛かって充電が開始されると電圧がかかる端子です。
L端子からの電圧によって、車両はエンジンが掛かっている状態だという判断をします。
この車両にはセーフティリレーがついています。
セーフティリレーにはL端子からの信号線が入っており、エンジンが掛かっているときすなわちL端子の電圧がかかているときはスタータリレーをONにしない=セルモーターを回さないように制御されます。
試しにオルタネータのR端子を外して、アースさせてみます。
この状態でキーを回すと通常通りセルモーターが回りエンジンが掛かりました。
キーをOFFにするとバッテリーリレーも正常に落ちるようになりました。
エンジンが掛かった状態で、R端子を戻して充電電圧を点検すると充電されていませんでした。
エンジンが掛かっていない状態でR端子単体で電圧を計ると、24Vきていました。通常であればエンジン始動に電圧がかかります。
上の画像は正常なオルタネータのエンジン始動前のR端子電圧です。このようにほぼ電圧はかかりません。
スタータリレーのL端子電圧も計ってみます。するとエンジン始動前で24Vきていました。これではスタータリレーが作動しないのでキーを回してもセルモータは回りません。
エンジン始動前の正常時L端子電圧です。この上の画像の様にほぼ電圧はかかりません。
オルタネータの内部リークによりL端子の電圧がかかり、エンジンが掛かっていないときにもセーフティリレーが働きセルモータが回らないようになってしまっていました。
オルタネータをリビルト品に交換することで無事正常に動くようになりました。
チャージランプもONの時に点灯エンジン始動で消灯するようになりました。
まとめ
重機ではオルタネータが壊れたために『キーをOFFにしても電源が落ちない』や『セルモータが回らない』などの不具合が多く発生します。
今まで車ばかり触ってきた私にはあまりなじみがない故障なんですよね。
エンジンが掛からない=セルモータという頭があるので見落としてしまいがちです。
注意しなければなりません。
振り返ってみれば最初にお客様に問診した時に、
「最近エンジンをかける際にセルがよわい感じはありましたか」というのに対し
「そういう感じはなく急にかからなくなった感じ」
という風に答えていました。
セルモータの不具合ならば、だんだんとかかりにくくなると思いますが、オルタの不具合の場合は急にかからなくなるというのは確かに納得のいく話です。
点検時の違和感を感じたときはその感覚がとても大切だと改めて感じました。
オルタ品番:0-35000-3070→0-35000-3940 ニッコー