ディーゼルエンジンの吹けが悪い場合 『ウォーターセパレータ』の清掃
ディーゼルエンジンは主にトラックなどの大型車に使われることが多いですが、最近ではクリーンディーゼルなどの登場により一般の乗用車に使用されることも多くなりました。
ディーゼルエンジンの特徴の一つとして、力強く頑丈なエンジンという特徴があります。
そのため、力を必要とし長距離を運転することの多いトラックなどに使用されることが多いのです。
頑丈なディーゼルエンジンですが時として、トラブルが発生する場合もあります。
最近の排気ガス規制などの対策により、排ガスを綺麗にするための様々な部品が取りつくようになってきているのも原因のひとつです。
でも、ディーゼルエンジンがかかる仕組みは実はけっこう単純です。
今回紹介する方法はエンジンがかからない、エンジンのかかりが悪い、エンジンはかかるけれど吹けが悪い、などの症状が出たときに使える方法です。
この様な症状が出た場合は共通して『ウォーターセパレーター』という部品が関係して発生している場合がります。
ウォーターセパレータの点検方法や、症状が出たときの解決方法を詳しく紹介します。
ウォーターセパレータとは
ウォーターセパレータという部品は燃料の中に含まれている水分を分離する装置です。
装置といって構造はとても単純なものです。
軽油より重い水の比重を利用して、カートリッジ内で分離し水をカートリッジの底にためます。
また、フィルターが内蔵されているので、燃料の中に混ざった汚れなども一緒に除去してためておきます。
エンジンにはウォーターセパレータを通った純度の濃い軽油が供給されるという仕組みです。
このウォーターセパレーターにたまった水は勝手には無くなりませんので、定期的なメンテナンスが必要となります。
ちなみに最近のエンジンは水が限度までたまると警告灯などで表示されるタイプのものが多いです。
画像のように赤い浮きが入っていて、これは軽油には沈み、水には浮きます。
なのでウォーターセパレータのそこに水が溜まってくると、赤い浮きが上に浮いてきてわかる仕組みになっています。
この赤い浮きが上まで上がってきているものは『水抜き作業』が必要となります。
ディーゼルエンジンの不調原因と改善方法
ディーゼルエンジンの不調、かかりが悪かったり、ふけ上がりが悪くなる原因は、燃料に水が混入したことによる燃焼不良が一番多いです。
燃料の中には水が混入してしまうことがあります。理由は様々ですが、原因の一つとしては、燃料タンク内の結露による混入です。
これはタンクの大きい大型車などで発生しやすくなる傾向があります。
これは構造上仕方のないことなので、ゼロにすることができません。そのためにウォーターセパレータで燃料と水を分離する装置が付いています。
上の画像はウォーターセパレータの水がからの状態です。赤い浮袋は一番下にあります。
こちらの画像はウォーターセパレーターにだいぶ水が溜まってきている状態です。
このウォーターセパレータにためておける水の量には限度があるので、限度いっぱいまで溜まってしまうと、燃料と一緒にエンジンに送られてしまうようになります。
そのような原因で水が混じった燃料が、エンジンで正しく燃焼できるはずもなく、始動不良やふけ上がりの不良となります。
なので、そのような症状が発生した場合は「ウォーターセパレータの水抜き作業」を行うことで症状を改善させることができます。
この作業は誰にでも簡単にできる作業ですの記事をよく読み挑戦してみてください。
ウォーターセパレータの水抜き方法
ウォーターセパレータの取付位置や車種によってさまざまですが、燃料タンクの近くやエンジンルーム内に取り付けられていることが多いです。
ウーターセパレータを見つけたら燃料コックを締めます。
画像赤丸部が燃料コックです。元の位置から90度回すと閉まります。
ウォーターセパレータの取り外しは、マイナスドライバーとハンマーがあれば行えます。
ウォーターセパレータの上部赤い矢印の凹凸部分にマイナスドライバーを当てて、ハンマーでコンコンたたいてやるとこの部分が緩んでウォーターセパレータを取り外すことができます。
外す際ウォーターセパレータ内の軽油がこぼれないように気を付けてください。
ケースが外れると画像の様にフィルターが残ります。これは燃料の汚れを取る役目をしています。下に引っ張ると取り外せるので、取り外しておきましょう。
ウォーターセパレータ内の軽油を容器に開けるとこのように水と分離しています。これだけの量の水が溜まっていたということになります。
取り外したケースのそこには汚れがたまっています。
この汚れはパーツクリーナーなどを使って綺麗に洗い流しましょう。このとき取り外したフィルターも一緒に洗浄します。
元の手順で組み付けていきます。
燃料コックを開けてから、燃料をウォーターセパレータ内にためてやる必要があります。
これを怠るとエアかみの原因となり、エンジンがなかなかかからなくなります。
電磁ポンプのタイプのものはカギをIGONの状態にすることで電動で燃料を吸い上げてくれます。大体30秒ほど吸い上げれば十分です。
画像赤丸部が燃料の電磁ポンプになります。IGONでジーと音がして動いているのがわかります。
プライミングポンプ式のものはしっかりと手ごたえが出るまでもんでください。
プライミングポンプの形は車種により、若干異なります。
だいたいこの2枚の画像のどちらかの形をしていることが多いです。
下のタイプはねじ式になっていて回すことでポンピングできるようになります。
エンジンをかけて調子が改善されていれば作業完了となります。
ディーゼルエンジンの調子が悪いとき まとめ
ディーゼルエンジンの調子が悪い場合で一番多い原因がウォーターセパレータの水です。
頑丈で壊れにくいディーゼルエンジンですが、こういったちょっとしたことが原因で調子が悪くなることがあります。
たまに点検をしてやって、水が溜まっているかどうかだけでも見てやるといい思います。
大体すぐ見やすい場所についているはずです。
今回紹介したような不調が現れた場合はこの記事の方法を参考にしみてください。