ガソリンエンジンの3要素!良い混合気、良い圧縮、良い火花について
ガソリンエンジンの3要素を理解することは、車の修理やチューニングをする上でとても重要になります。
この3要素といわれる考え方がすべてのガソリンエンジンの基礎となるのでしっかりと理解しておきましょう。
自動車が坂を上るときや車を追い越すなどは大きな力が必要になるため、アクセルペダルを踏み込んでエンジンの力を大きくしています。
エンジンがアクセルの操作に合わせてそれに応じた力を出すためには、
「良い混合気」
「良い圧縮」
「良い火花」
この3つの要素が必要になりこれを『ガソリンエンジンの3要素』といいます。
この記事では『ガソリンエンジンの3要素』について、初心者の方でもできるだけわかりやすくまとめていきます。
このページの目次
良い混合気とは
ガソリンが燃えるには必ず空気と混ざりあう必要があり、このガソリンと空気が混ざり合ったものを『混合気』とよびます。
それでは自動車にとって「良い混合気」とはいったいどのようなものでしょうか。
自動車にとっての良い混合気とは
1.ガソリンが気化し十分に空気と混ざり合っていること
あらゆる物質は液体や固体のままでは燃えることが出来ません。
ガソリンも確実に燃えるためには、十分に気化することが必要で、そのうえで空気とよく混ざり合っていることが重要ようです。
2.適切な濃さの混合気であること
自動車はさまざまな環境の下で使用されます。例えば、極寒の地から炎天下の熱い地まで様々な気温の変化があります。
また、平地の定常走行や急な上り坂など、エンジンへの負荷が大きく変化します。さらに、アイドリングから急加速時の高回転までエンジンの回転数も大きく変化します。
この様に、エンジンの使われる環境が変化すると、エンジンに求められる混合気も変わります。その時のエンジンの状態にあった混合気を供給することが必要になります。
混合気中の燃料と空気の割合を「空燃比」と呼びます。またガソリンが完全に燃えるために必要な空気の割合は、ガソリン1に対して空気14.7といわれておりこれを「理論空燃比」といいます。
エンジンにとって良い混合気とは
ガソリンエンジンはいかなる走行状態でも理論空燃比でガソリンが完全燃焼すれば最高の出力をだすことが出来きます。
しかし、実際のガソリンエンジンは吸入した空気の量に対して理論空燃比となるようにガソリンを噴射しても、すべてのガソリンが均一にガソリンと混ざり合うわけではありません。
それはなぜでしょうか?
1.空気の温度に左右されるため
ガソリンは空気の温度が低いと、気化しにくいため燃えにくくなります。
エンジンが冷えている状態の場合、エンジン内に噴射されたガソリンが気化できずに粒上のままで排出されてしまうものもあります。
そのため、低温時にはあらかじめ多めのガソリンを噴射して理論空燃比に近づけるように制御しています。
朝一のエンジンが冷えている始動時なども多めに燃料を噴射してます。
2.負荷変動が大きい場合
加速時などにアクセルを踏んで大量の空気を吸入すると、噴射されたガソリンは空気に追従できず混合器が薄くなってしまいます。
それでは力が必要なときにラグが生じてしまいます。したがってそれを補うために負荷変動が大きいときは通常よりも多めに燃料を噴射しています。
すなわち、エンジンは完全暖気状態で負荷の少ない定常走行時が最も効率的に燃料を消費しているということになります。
良い圧縮とは
良い混合気を圧縮することにより、ガソリンが燃焼した時に大きな力を発生させています。
混合気を圧縮する際、適度な圧縮の程度があります。圧縮の程度は「圧縮比」で表されます。
一般に、圧縮比を上げた方がより大きな爆発圧を得ることが出来ますが、圧力が高すぎるとノッキングといわれる現象が発生してしまいます。
ノッキングは出力低下するだけでなくエンジン内部を傷つけていまい、最悪エンジンを破損させてしまいますのでおさえなければなりません。
なのでガソリンエンジンの圧縮比は10前後になるように設計されています。
ちなみに、圧縮もれを起こしているエンジンはそのエンジンの寿命が近いという可能性があると判断できます。。
良い圧縮を得る仕組み
良い圧縮を得るには、エンジンを構成する部品と部品の隙間(クリアランス)から混合気の漏れを少なくすることが重要です。
そのためインテークバルブやエキゾーストバルブは圧縮工程時にはぴったりと閉じる仕組みになっています。
また、ピストンとシリンダの隙間は、ピストンリングとオイルで密閉されています。
良い火花とは
ガソリンエンジンは混合気が燃焼するとこで動力を発生しています。
良い火花が発生しないと混合気が十分に燃焼することが出来ずに、エンジンがかからない、出力不足などの原因にもなります。
このように燃焼をつくるきっかけとして良い火花はとても重要です。
良い火花の条件
1.圧縮された混合気を燃焼させるのに十分な強い火花であること
ガソリンエンジンはスパークプラグから火花を発生させ混合気を燃焼させます。
発生した火花が弱いと、混合気がしっかりと燃焼しなくなり出力低下につながります。
圧縮された混合気をしっかり燃焼させるためには、強い火花が必要になります。
強い火花を作る仕組みは「イグニッションコイル」という部品で行っています。
2.エンジン状態に応じて最適な時期に点火できる
火花を発生するタイミングによっては、十分に混合気を燃焼することができす、出力の低下につながります。
エンジンに最適な点火タイミングは一定ではなく、回転数や負荷に応じて変化します。
エンジンの燃焼工程にはには着火遅れ期間や火炎伝播期間などの燃焼ラグのようなものがあり、火花の点火時期はエンジンの各センサーからの信号によってコンピュータが判断し適切な時期に点火信号を送る仕組みになっています。
最適な時期に強い火花を点火することが、良い火花の条件となります。
ガソリンエンジンの3要素 まとめ
・良い混合気:燃料の質、空燃比
・良い圧縮:バルブタイミング、エンジン構成の隙間(クリアランス)
・良い火花:適切なタイミング、強い火花
ガソリンエンジンの不具合がした場合はこの3要素のうち何かが欠けてしまっているということになります。ガソリンエンジンの不具合はこの3要素を基礎に置き考えることがとても重要です。
エンジンの不具合の修理で行き詰った時はこの原点にもどって考え直すことで、解決する事がよくあります。
またエンジンのチューニングなどをする際も、この3要素をより良い物にしていくことで出力アップにつながります。この辺のことに興味がわいて、わかるようになってくると車の楽しさが増してくると思います。
知れば知るほど面白いガソリンエンジン3要素のはなしでした。