ガソリンエンジンの仕組み 構造・作動 ~初級編~
エンジンは、自動車の中でも最も大切な部分で、人間で例えるなら心臓です。
なので部品のひとつひとつの部品がとても精巧に作られおり、組み立てられています。
この記事ではガソリンエンジンの部品の構造や、構成、作動方法などをできるだけ簡単にわかりやすくまとめています。
エンジンの主な装置を吸気装置、燃料装置、潤滑装置、冷却装置、排気装置に分けて説明していきます。
このページの目次
基本的なエンジンの作動
ここでは最も広く使われている4サイクルエンジンについて説明します。
4サイクルエンジンは空気を吸い込んでから、排出するまでに4つの工程(4サイクル)があります。
4つの工程とは吸入→圧縮→燃焼→排気となります。
それぞれの工程の働きを説明します。
1、吸入工程
排気弁が閉じ、吸気弁が開きます。ピストンの下降により、開いている吸気弁からシリンダ内に混合気を吸い込みます。
2、圧縮工程
ピストンが下降し終わると吸気弁が閉じます。シリンダ内に吸入された混合気は、ピストンの上昇とともに圧縮されます。
3、燃焼行程
圧縮工程が終わるころに、スパークプラグから火花が点火され混合気が燃焼、爆発します。この力がピストンを押し下げクランクシャフトを回転させることで、車の動力となります。
4、排気工程
ピストンが下降し終わると排気弁が開き、ピストンの上昇に伴って燃焼後の排気ガスをシリンダの外に押し出します。
出典:https://cacaca.jp/dictionary/engine/8485/
エンジンの形
エンジンはその構成の仕方によって様々な名称がります。
・直列エンジン
シリンダが1列に並んでいるもので、構造がシンプルにできる。シリンダ数が多くなるとエンジン全体の長さが長くなる。
・V型
クランクを挟んでシリンダがV型に並んだもので、エンジン全体の長さが同じ気筒数の直列エンジンに比べ短くできる。またブロックの形状が立方体に近くなるのでエンジン全体の剛性を高くできるメリットがあります。
V型の角度(バンク角)には60度や70度、90度などがあります。
V型エンジンは構造が複雑になるので、部品点数が増えるデメリットがあります。
・水平対向エンジン
低重心や全長を短くできる特徴に加え、左右対象に向き合ったピストンが水平方向に動くことで互いの力を打ち消しあうため、スムーズで低振動になります。直列エンジンに比べ低重心のため走行性能に優れています。
エンジン本体の主な構成部品
・シリンダブロック
エンジンの骨格となる部品。
補器類の取り付けベースになりクランクシャフトを支える。軽量化と剛性確保のためリブが設けられる。吸入した混合気を圧縮、燃焼させ動力を発生する部分。
アルミ製のブロックにシリンダライナーという鉄を鋳込んであるものが一般的。画像のシリンダブロックは鋳鉄製。
・ピストン
混合気が燃焼して発生した力を受けて、シリンダ内を上下運動します。その力をコネクティングロッドを通してクランクシャフトに伝えます。材質はアルミニウム合金の鋳造性が一般的。
ピストンは温まった時円形になるように楕円の形をしている。(目視ではわからないレベル。)
ピストンの上面は画像の様に少しくぼんでおり、燃焼エネルギーをしっかりと受け止められる構造になっている。
またバルブとピストンが緩衝しないように「バルブリセス」というバルブの逃げを設けている。
・クランクシャフト
ピストンの上下運動を、コネクティングロッドを通して、回転運動に変える。
前端部にはオイルポンプが、こう端部には出力を取り出すための構造になっている。鍛造品にものが多いが一部、コスト削減と軽量化のため鋳造品もある。
画像はシリンダブロックに取り付けされている状態。
・フライホイール
エンジン内部で発生した動力を蓄えておく部品。はずみ車の役割。
4サイクルエンジンは4つの工程のうち、1工程しか動力を発生しません。なのでほかの3工程のときはこのフライホイールに慣性力を蓄えて、エンジンが動き続けられるようにしている部品。
同じエンジンでもフライホールの重量を変えることで、車の味付けが変わってくる。
オートマの場合、ドライブプレートという。
・シリンダヘッド
シリンダブロックの上にあり、下面のへこみでシリンダとともに燃焼室を形作っている部品。
燃焼室の形によって様々な名称がある。
現在主流なのは屋根型(ペントルーフタイプ)で、出力、排ガス両方の性能のいいとこどりが出来る形。
・動弁機構
インテークバルブとエキゾーストバルブを混合気の吸気、排ガスの排出を行っている。
バルブの開閉タイミングを適正な時期に行っている部品。
バルブは開閉時に絶えず衝撃が繰り返されるので耐熱性、耐摩耗性が要求される。クランクシャフト2回転でカムシャフト1回転する。
・オイルパン
エンジンオイルをためる部品。
一部をへこませ、仕切り板を設けることで、傾斜などでも安定したオイル量を循環できる仕組みになっている。
吸気装置の仕組み
混合気の燃焼によって正常な動力を得るためには、空気と燃料を適切な割合で混ぜ合わせなければならない。
このとき空気を供給する装置が吸気装置です。
エアクリーナ、スロットルボディ、インテークマニホールドなどから構成されている。
まず外気をエンジンに吸入するときはエアクリーナーを通って、空気中のごみやホコリを除去する。スロットルバルブはアクセルペダルと連動しており走行状況に応じて、エンジン内に吸入する空気量を調整している。
吸入された空気はインテークマニホールドからシリンダ内部に吸入される。
燃料装置の仕組み
スロットルボディの開度に応じた量のガソリンを、不純物を取り除いたうえで、シリンダに供給する装置。
フューエルタンク、フューエルポンプ、フューエルフィルタ、燃料計などから構成されている。
フューエルタンク内部に設置されたフューエルポンプがガソリンを吸い上げインジェクタにガソリンを送る。このときプレッシャレギュレータという部品で燃圧が調整されます。
燃料計はフューエルポンプと一体で取り付けられておりガソリンの残量をドライバに知らせる。
潤滑装置の仕組み
エンジン内には、部品と部品どうしが接触し摩擦が生じている部分がたくさんある。この摩擦部分は大変高温になるため、焼き付きが起きたり部品が溶け出して大きな事故を起こす原因にもなってしまいます。
そこで潤滑装置によってオイルを常に循環させ、絶えず部品の間に油膜を作ることで摩擦抵抗を減らし、回転部分やしゅうどう部分を焼き付きから守り円滑に作動させています。
エンジンオイルはオイルポンプにより、オイルパンから吸い上げられます。自動車には油圧警告灯が付いており、エンジンに圧送されている油圧が正常か異常かをドライバーに知らせます。
またオイルポンプから吸い上げられたオイルは一度オイルフィルタを通り、金属粉などの異物を取り除いてからエンジンに潤滑しています。オイルフィルタが汚れで詰まっても、リリーフバルブが開いてオイルの循環をおこなえるようになっています。
冷却装置の仕組み
エンジンが動いているときエンジンは大変高温になる。
オーバーヒートを起こさないようにするためにエンジンを適切な温度に保つ装置が冷却装置です。
水温計、ウォーターポンプ、ラジエータ、クーリングファン、リザーバタンク、サーモスタットなどの部品で構成されている。
ウォーターポンプはエンジンの動力によって駆動し、冷却水をエンジン内に循環させている。ラジエータは冷却水を冷却する装置です。
エンジンを循環して戻ってきた冷却水は高温になっていますので、必要に応じて一度ラジエーターで冷却され再度エンジンに循環されます。
リザーバータンクは熱で膨張して溢れた冷却水を一時的にためておく。冷却水が冷えればあふれ出た冷却水はまたエンジンに戻るようになっている。
サーモスタットは冷却水の温度を調整している。冷却水の温度が低いときはラジエータへの循環を止め、高くなるとラジエータに循環させる仕組みになっている。
排気装置の仕組み
排気装置はエキゾーストマニホールド、触媒コンバータ、マフラなどで構成されている。
エンジンから排出された排気ガスを浄化し、マフラで排気騒音を抑える働きをする。
エンジンを始動する仕組み
エンジンは自分の力では動き出すことが出来ないため、始動時はスタータモータを使ってエンジンを始動する必要がある。
スタータモータはバッテリを電源とし、クランクシャフトと直結しているフライホイールを回すことでエンジンを始動させている。
ガソリンエンジンの構造・作動 まとめ
エンジンはこれだけ多くの部品で構成されており、それぞれが絶妙なタイミングで作動することで成り立っています。
エンジンの燃焼行程で取り出せるエネルギーは30~40%くらいしかありません残りの60%以上はロス、無駄になり捨ててしまっているだけです。いかに効率のいい燃焼をさせて、そほかのロスをなくすかが重要です。
そのために各メーカーはさまざまな技術を開発して競争しています。
効率を良くしてロスを減らすことがエンジンのパワーアップとエコにつながるといことになります。