ディストリビューター水入りによるエンジン始動不良
今回の車両はスズキの軽トラキャリーになります。エンジン型式はF6Aになります。
この車両は年式が平成6年のものになり、点火系統にディストリビュータという部品が使われています。ディストリビュータは現在の車で使われることは無くなりあまり見る機会も無くなりましたが、この年式くらいの車両では多く見られます。
今回の不具合はこのディストリビュータが原因で起きた不具合になります。原因と修理内容をまとめた記事にです。
このページの目次
ディストリビューターとはなにか
先ずは、そもそもディストリビューターとはなんなのかを簡単に説明します。
赤丸部がディストリビュータになります。
ディストリビュータとはイグニッションコイルから発生された高電圧を、エンジンの回転に合わせて各気筒の点火プラグに分配するための部品です。
エンジンのカム付近についていてカムからの駆動によって動く場合が多いです。プラグコードが気筒分とイグニッションコイルからの一本の数本出ている部品です。そのプラグコードから各気筒のプラグに適切なタイミングでプラグへ高電圧を送電しています。
現在の車ではダイレクトイグニッションといわれるタイプが主流になっていますのでディストリビュータはなくなっています。理由としてはダイレクトイグニッションコイルの方が電気を送電する効率がプラグコードがない分良いためです。それに加え点火時期の制御をより細かくできるようになりエンジンの効率化に貢献します。
ディストリビューターの不具合によるエンジン始動不良の原因
不具合と言っても実は原因はとても単純なものです。
今回の不具合はエンジンがかからないというものでしたが、状況を聞くと、「洗車をした後しばらくしてから調子が悪くなった」ということでした。
この症状ディストリビューターのタイプの車両では結構あるあるの不具合です。
原因としてはディストリビューターの中に水が入ってしまい、電気がリークしてしまったことによる点火系統の不具合になります。
この場合スパークプラグに電気が正常に送られなくなりエンジンがかかってもエンジンがブルブル震えたり、最悪エンジンがかからなくなってしまいます。
洗車をするとき、高圧洗浄機でエンジンルームをバシャバシャ洗ったりしてしまうとディストリビューターの中に水が浸入してしまい、今回のような不具合が発生することがあります。特に軽トラなどは下まわりが泥まみれになってしまって高圧洗浄機で洗い流すことがあると思いますので注意が必要です。エンジンがむき出しになっていますので。
ディストリビュータータイプの車両はディストリビューターに水がかからないように洗浄することが大切です。いちおう防水用のパッキンはありますがそこまで防水機能は高くありません。
ディストリビューターの不具合によるエンジン始動不良の修理
修理方法としてはディストリビューターを開けて中の水気を拭いてやることで症状がよくなります。
ディストリビューターはほとんどのものがプラスねじ2本で止まっていることが多いと思います。そのねじ二本を外せばディストリビュータキャップをパカッと開くことが出来ます。
赤丸部はディストリビュータキャップについているポイントといわれる部品です。
画像ではわかりにくいですがこのまわりが水で濡れていました。水気を布で綺麗に拭き取ります。
キャップを開けたついでにポイントについた白いカスも取り除いておきます。薄刃のマイナスドライバーなどでカリカリ削れます。
このポイントが濡れてしまったことにより電気がリークして正常な火花を点火する事が出来なくなった状態でした。
ついでにディストリビューター本体がわのロータといわれる部品にも同じように白いカスが付いていると思いますので取り除きます。
このカスはディストリビューターの構造上たまってきてしまうものです。このカスがたまりすぎると電気の伝達効率が悪くなりエンジンの不具合などにもつながりますので定期的な清掃が必要です。
ディストリビューターキャップを元に戻して正常にエンジンがかかることを確認して作業は終了です。
ディストリビューター水入りによるエンジン始動不良 まとめ
今は少なくなったディストリビューターですがこの頃のエンジンは不具合が出るとわかりやすくて、整備をしたりする上では結構おもしろかったりします。
ディストリビューター式の車を乗っていてしばらく清掃作業を行っていない方は一度ディストリビュータキャップを開けてみて状態を確認してみることをおすすめします。白いカスがたまっていた場合取り除くととでエンジンの調子が良くなるのを実感できると思ます。
ディストリビュータが付いている車両はエンジンルームを清掃する際、直接ディストリビューターに水を搔けないように行ってください。