マニュアルトランスミッションの仕組みについて




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マニュアルトランスミッション(MT)はその構造によりいくつかの種類に分かれますが、この記事では特にシンクロメッシュ、イナーシャロック式について説明していきます。

この機構は一般に乗用車で多く用いっれている機構になります。特にシンクロメッシュ機構についてはわかりやすく説明していきたいと思います。

マニュアルトランスミッションの故障の原因の考え方もまとめています。

マニュアルトランスミッションの構成

  • トランスミッションケース・・・各ギヤ、シャフト、操作機構が組み付けられている。アルミ合金製。
  • クラッチシャフト・・・エンジンからの動力と直結。メーンドライブギヤが付いている。
  • カウンタシャフト・・・メーンドライブギヤで回される。カウンタギヤと一体。
  • メーンシャフト・・・プロペラシャフト(出力)に直結。各速のスピードギヤが空転するように取り付け。スピードメータドライブギヤもついている。

~メーンシャフトとかん合しているシンクロメッシュ機構を動かすことで、空転している各速のスピードギヤとメーンシャフトがかん合しカウンタシャフトの動力がメーンシャフトに伝わるようになる。~

エンジンの動力伝達経路

エンジン→クラッチ→クラッチシャフト→メーンドライブギヤ→カウンタギヤ→各速のスピードギヤ→シンクロメッシュ機構(スリーブ等)→メーンシャフト→プロペラシャフト

シンクロメッシュ機構

シンクロメッシュ機構とは・・・

「回転速度の異なる2つのギヤを摩擦力で同期させてかみ合わせる」

  • 構成

メーンシャフトのスプラインにシンクロナイザハブがかん合されている。シンクロナイザハブの外周にはスリーブがギヤではまっており、スリーブはシフトフォークによって軸方向に移動できる。

シンクロナイザハブの外周とスリーブの間に、3本の切り溝があり、そこにはシンクロナイザキーが入る。

シンクロナイザキーはキースプリングによりスリーブに押し付けられている。中立の時は、キー上部の凸部がスリーブ凹部に入っている。

各スリーブと各速のスピードギヤの間には、シンクロナイザリングがありその内面は油切り面圧を高めるために切り溝が入っている。

「スリーブが各スピードギヤの小ギヤとかみ合うことで動力が伝わる。そのギヤとギヤがかみ合う前にコーン部とシンクロナイザリング内面が摩擦し回転速度を同期させることでギヤ同士がスムーズにかみ合う」

シンクロメッシュ(同期作動装置)

マニュアルトランスミッションの作動

  1. スリーブがシフトフォークによって動くとスリーブ内部凹とかみ合っている。シンクロナイザ―キーも動く。
  2. シンクロナイザ―キーがシンクロナイザリングに当たり、ギヤのコーン部と摩擦する「軽い摩擦発生」
  3. スリーブがさらに進むと、シンクロナイザキーの突起とスリーブのかみ合いが外れ、スリーブが直接シンクロナイザリングを押し付ける。「強い摩擦発生」
  4. 摩擦によって回転速度が同じくらいになると、スリーブと各スピードギヤの小ギヤがかみ合い変速が完了する。

・スリーブ、リング、小ギヤのギヤ端部はの形状はとがっておりそれらが接触することでも摩擦が発生している。また、尖らすことでギヤがかみ合いやすくなっている。

マニュアルトランスミッションの操作機構

フロアシフト式コラムシフト式がある。

フロアシフト式は直接捜操作式と遠隔操作式があり、前者はシフトレバーで直接シフトフォークを動かすことでシャフトを動かす。FR車。

後者はケーブルとリンクを介してシャフトを動かす。FF車。

インタロック機構(二重かみ合い防止)

一組のギヤがかみ合っているとき他のギヤがかみ合わないようにする。

作動しているギヤ(シャフト)以外のギヤ(シャフト)を動かさないようにする。シャフトの横にへこみがありそのへこみ間にインタロックピンを入れている。

ギヤ抜け防止機構

作動しているシャフトを動かさないようにする。

  • ロッキングボール~シャフト上部にへこみがありスプリングによってボールが押し付けられている。
  • ギヤ歯の加工~テーパ(チャンファ)になっており、ギヤが回転している方向に力をかけることで抜けないようにする。

シャフトを動かすとスプリングを縮めてボールがへこみから外れて、ほかのへこみへ移動する。「シフト操作時の手ごたえにもなっている」

・スプリング強いと・・・手ごたえが重くなり抜けにくい代わりに、操作が重い

・スプリング弱いと・・・手ごたえが軽くなり、ギヤが抜けやすくなる

マニュアルトランスミッションの故障原因

ギヤのかみ合わせが困難<ギヤの入りが悪い、変速時ギヤ鳴り>

シンクロメッシュ機構の不具合が考えられる。~シンクロナイザリング内面、油切り溝の摩耗がありコーン部との摩擦時に滑りが発生してしまう。

シンクロナイザキーの突起部の摩耗とキースプリングの衰損があり、初めの軽い摩擦が行われない

・ギヤが抜ける

  • ロッキングボールスプリングの衰損
  • 各ギヤのスプライン部の摩耗
  • カウンタシャフトの軸方向のガタ

マニュアルトランスミッションの仕組みについてまとめ

マニュアルトランスミッションの仕組みについて理解を深めていただけましたか?

なかなか文章だけだと伝わりにくいところも多かったかもしれません。

仕組みや構造、操作機構をしっかり理解することで、故障探求の精度も上がってくるかと思います。

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